新築1Rによる所得税の節税スキーム??

弊社は、不動産や相続において、様々な相談をお受けしております。特に、多い相談は、「所有している賃貸不動産が儲かっているのか?」を見てもらいたいというものです。「なぜ、見てもらいたいと思ったのか?」を聞いてみると、「思ったよりもお金が残らない」という感じを受けているからだそうです。

つまり、定性的には、お金が残っていないことをわかっているものの、定量的には、お金がどれくらい残っていないかということをわかっていないということを示しています。このような状態は、非常に大問題です。

 

不動産投資ではなく、不動産賃貸業の経営であると考えるべきです。不動産所得がある場合には、確定申告を必ず行なっているはずです。まず、申告した確定申告書を必ず確認しましょう。確認した上で、わからない箇所があるかどうかを確認しましょう!

多くの場合、わからない箇所があるはずです。わからない箇所において、何がわからないかを必ず確認するべきです。

なぜ、確定申告書を確認するべきであるかというと、確定申告書は、1年間の利益について記載されているものになります。1年間の利益を記載するためには、不動産による収入と経費を記載することになります。簡単な式ですので、言う必要もないかもしれませんが、

収入- 経費= 利益

になります。つまり、収入と経費を把握していなければ、利益を把握することはできないからです。

また、収入と経費を確定申告書に記載するということは、不動産投資ではなく、不動産賃貸業の経営であると考えるべきです。このHPの中では、何度もお伝えしていることになりますが、非常に大切なことですので、再度お伝えしたいと思います。

不動産賃貸業の経営であるからこそ、確定申告書において、収入と経費を記載することができるということを理解しなければなりません。株式投資であれば、配当金等の収入は記載したとしても、経費を記載することはありません。株式投資と不動産賃貸業の経営の違いは、必ず理解していただきたいと考えております。

さて、不動産賃貸業の経営であると考えたときに、利益を上げるために事業を行うということは理解できると思います。利益が出れば、税金を支払わざるを得なくなります。(支払う税金をコントロールすることも必要になりますが、ここでは割愛します。)

利益が出る。→税金を支払う。

という構図になることは理解することができるでしょう。

 

それでは、『新築1Rによる所得税の節税スキーム』について考えてみましょう!

先ほどお伝えしたように、利益が出れば、税金を支払わざるを得なくなります。所得税の節税という観点でいうと、利益が出ていないので、税金を支払わずに、逆に還付してもらうという考え方になります。経営者として、適正に支払う税金をコントロールしている場合であれば、問題はないかもしれません。

しかし、所得税の節税スキームを使っている方は、給与収入が高いわりに、事業というものをほとんど行なっていないサラリーマンの方が多くです。

 

なぜ、所得税の節税スキームを使おうと思ったのか?ということを理解するべきです。

給与収入の最高税率は、

所得税率45%

住民税率10%

合計55%になります。このような状況にある人の場合、節税をしたいと考えても無理はないと思います。支払う税金額を減らして、逆に還付してもらうという考え方をすることになります。

 

その一つの方法が、ふるさと納税になります。ふるさと納税は、納税という単語が入っているので、納税しているものと考えがちですが、納税とはまったく異なるものです。ふるさと納税は、寄付になります。寄付であるからこそ、確定申告において、寄付控除を用いて、多く支払った税金から還付してもらうというものになります。ふるさと納税を積極的に使うことは良いと思います。ふるさと納税によって、地方自治体が活性化するからです。

 

支払う税金額を大幅に減らしたいと考えた場合に、賃貸不動産を購入するという方法があります。世の中では、賃貸不動産を購入することが問題であるかのように言われていますが、賃貸不動産を購入することが問題ではありません。どこに問題があるかというと、購入した不動産に関して、大いに問題があるということです。

 

新築1Rを購入しても、購入した本人にお金が残ることはほとんどありません。

なぜなら、いわゆる新築1Rによる所得税の節税スキームは、賃貸不動産による損失を作ります。そして、給与収入から損失を引くことによって、天引きされ、支払いすぎた税金を還付してもらうスキームだからです。

多くの場合、

  • 新築1Rは、過剰供給状態にある。
  • 競合物件が多すぎる。
  • 賃料が高く設定されている。
  • 満室でも毎月、マイナス状態である。
  • 空室リスクを想定していない。
  • 相場よりも高額で購入している。
  • ほぼフルローンで購入している。
  • 固定資産税、都市計画税などの経費を見込んでいない。
  • 節税になる。年金の代わりになる。保険の代わりになる。という営業をする。

あげればきりがないくらい問題点があります。

相場よりも高額で、さらにほぼフルローンで購入しているため、売却したいと考えたとしても売却することができません。理由は簡単です。

売却金額< 債務金額

になるからです。売却するためには、追い銭する必要があります。

物件の事業収支を確認してみると、本人が考えている以上にお金が出ていっていることになります。実際に出て行っているお金と還付される税金額を比較すると、

実際に出て行っているお金> 還付される税金額

であることがほとんどです。

これでは、節税を行なった意味がまったくありません。

税務署に支払うはずであったお金を不動産会社や金融機関に支払ったにすぎません。

 

そもそも、節税の意味を理解しなければなりません。節税する意味は、節税することによって、自分のお金を減らさないということです。それは、誰に対してもお金を支払わないということを意味するのではないでしょうか?もう一度、考えてみてください!!

 

新築1Rによる所得税の節税スキームの一番の問題点は、購入した本人がお金の流れ(キャッシュフロー)をまったく把握していないということです。分野が多岐に渡ることにより、キャッシュフローを把握しづらくなっています。しかも、新築1Rによる所得税の節税スキームを使う人は、忙しい傾向にありますので、なおさらキャッシュフローを把握しづらいということがいえるでしょう。

このような状況を利用されてしまっていることを自覚した方が良いと思います。

 

それでは、支払う税金額を大幅に減らしたいと考えた場合に、購入するべき賃貸不動産はどのようなものでしょうか?

それは、

築古物件

です。

築古の定義は、減価償却期間が過ぎているものです。減価償却期間が過ぎていたとしても、新たに購入した人は、減価償却費を計上することができます。減価償却期間が短期間になるため、高額な減価償却費を経費として計上することができるからです。

 

一方で、築古のデメリットもあります。

  • 築古のため、様々な費用がかかる。
  • 耐震性などを確認する必要がある。
  • コンセプトを明確にする必要がある。
  • 相場の賃料よりも低額になる。
  • リフォームを自分でやる。

忙しいサラリーマンが安易に手を出すことができるものではありません。

 

つまり、不動産賃貸業の経営者として、経営する必要があるということです。不動産投資は、簡単であると考えない方が良いでしょう。

したがって、新築1Rによる所得税の節税スキームというものが誰にとって、メリットがあるものであるのか?もう一度考えてみることをオススメします!

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