「投資」という言葉を色々なところで見聞きしていると思います。「投資」にも色々なものがあることをご存知でしょうか?
多くの場合、投資と聞くと、
・株
・投資信託
・債券
・貴金属
・外貨
・不動産
・仮想通貨
色々聞くけど、どれがいいの?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
結局、どれが一番良いというものはありません。
個人の資産状況、経済状況、家族構成、投資への考え方など各個人で状況は、マチマチです。ですから、各個人の状況がわからない状態で、絶対儲かるというものはありません。絶対儲かると言って、投資商品を売ることは金融商品取引法に反する行為です。
また、時代、投資する時点によって、同じものを購入しても儲かる場合と儲からない場合があります。
投資とは、必ず儲かるわけではないことを肝に命じておくべきでしょう。
今回は、REITについてお話をしていきます。そもそもREITって何だっただろうか?という方もいらっしゃると思います。
REITとは、不動産投資信託のことです。不動産における投資信託です。
まず、投資信託について、理解しましょう。
投資信託とは、投資家から集めたお金を株、債券などに分散投資を行い、ファンドなどの専門家が運用します。運用した結果、利益が出れば、投資額に応じて、分配金を得ることができる金融商品です。
REITとは、不動産投資信託のことですから、投資家から集めたお金を不動産に投資して、投資法人が運用を行います。運用した結果、利益が出れば、投資額に応じて、分配金を得ることができる金融商品です。
REITは、不動産投資の一種ではありますが、金融商品です。そのため、分配金は、配当所得となります。通常の不動産投資であれば、不動産所得になります。REITと通常の不動産投資では所得の扱い方が全く異なります。
REITには、住居系、事務所系、ホテル系、物流系、そして、これらを混合させた総合系などが存在します。
東京証券取引所に上場されているREITは、63種類です。
・事務所系:11種類
・住居系:6種類
・商業施設系:4種類
・ホテル系:5種類
・物流施設系:8種類
・ヘルスケア施設系:2種類
・総合型:22種類
・複合型:5種類
総合型は、どの系統の不動産に特化して投資するのではなく、分散投資を行うタイプです。
複合型は、上記したものの2種類を組み合わせて投資するタイプです。
REITといっても、様々な種類があることがご理解いただけたと思います。
各投資法人の名前を確認すると、よく目にする企業の名前が存在します。これは、投資法人のスポンサーになっているからです。やはり、東証一部上場企業が多いです。上場するということは、上場するための審査があります。その審査基準をクリアした投資法人だけが、上場することができるわけです。したがって、投資法人のスポンサーに東証一部上場企業が多いことも納得できるでしょう。
REITは株と同じように価格が変動するものですので、投資する際には、価格が変動することを念頭に入れた上で、購入する必要があります。ですから、株と同様にキャピタルゲイン(利ざや)とインカムゲイン(配当)により、利益を得ることになります。場合によっては、損失になることもあるでしょう。検討した上で、購入する必要があります。
さて、REITの利回りはどれくらいであると思いますか?
現在の全REITにおける平均分配金利回りは約4%です。
一方で、日経平均株価における平均分配金利回りは約2%です。
それでは、REITの方が利回りが高いからREITに投資すれば良いというわけではありません。
実は、REITと株の利回りに差が生じているのは、あるルールが影響していることをご存知でしょうか?
REITも株も法人が発行しているので、法人税を支払う必要があります。しかし、法人税の扱い方が異なっています。
大まかにいうと、次の通りです。
株を発行しているのは、株式会社です。株式会社の場合、年間の収益に対して、税金がかけられます。さらに、内部留保を差し引きます。残りが配当になります。
収益 – 法人税 – 内部留保 = 配当
一方、REITを発行しているのは、不動産投資法人です。REITの場合、収益の90%を超える部分を分配することで、実質的に法人税をかからなくすることができます。(他にも条件があります。)
収益 × 90%超 = 分配
つまり、REITの方が分配金を出しやすい形になっているので、利回りが高くなる傾向があるわけです。
ここまで話を聞くと、REITを購入してしまいそうですが、やはり検討は必要です。
最近では、物件価格が高騰しているため、REITもなかなか新規物件を購入することができない状態が続いています。
一方で、物件価格が高騰していることから、所有物件を売却して、利益を出しています。このまま、所有物件を売却していくと、所有物件が少なくなります。また、所有物件が少なくなるため、利益も少なくなってきます。
REITの場合、投資家に対して、運用報告を行わなければなりませんので、収益の悪い物件を購入した理由を説明しなければなりません。利益が少なくなることによって、分配金が少なくなることも説明しなければなりません。
分配金が少なくなることを報告すれば、REIT価格にも反映されるでしょう。
すると、利回りは株より良かったけれども、価格変動は株よりも大きいということもあるでしょう。キャピタルとインカムで計算した時には、REITよりも株の方が良かったということもあり得るわけです。
ですから、安易にREITを買えば良いというものではなく、十分な検討が必要です。
本コラムでは、不動産投資やREITを推奨しているわけではありません。投資を行うためには、勉強と最新情報の調査、分析が必要です。安易に手を出すものではありません。これらを理解した上で、投資したい場合には、自己責任でお願いいたします。
(注)東京証券取引所に上場しているREITについては、2019年4月22日現在において、上場されているREITの数です。
引用:
2019/4/21 6:30日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43950100Z10C19A4PPD000/
全REITにおける平均分配金利回り:
http://yahoo.japan-reit.com/list/rimawari/
日経平均株価における平均配当利回り:
https://www.nikkei.com/markets/kabu/japanidx/