士業の先生も気づいていないこと!

実は、士業の先生でも気づいていないことがあります。それは、士業の先生が悪いわけではありません。士業の先生が不動産賃貸業の経営者(大家さん)ではないために、気がついていないだけなのです。そのため、不動産賃貸業の経営者もやっている士業の先生であれば、気がつくことであると考えます。

 

何も対策を行わずに、認知症になってしまった後について考えていきましょう!認知症になってしまっているので、認知症になっている本人は契約行為を行うことができません。そのため、不動産を売却することは不可能になります。どうしても不動産を売却したいのであれば、法定後見人をつけてもらうしかありません。しかし、1度法定後見人をつけると、外すことは難しくなります。したがって、不動産を売却する可能性があるのであれば、認知症対策を行っておきましょう!認知症対策の方法として、家族信託®がありますよ!という話です。おそらくここまでは問題ないと思います。

 

さて、ここからです。

認知症になってしまった後では、売却は不可能であるが、賃貸なら問題ないのか?ということです。認知症になっている本人は契約行為を行うことができませんので、賃貸借契約もできません。それでも、賃貸借契約を行なっている場合はあるでしょう。実際には、賃貸借契約や賃貸不動産にトラブルがおきなければ、問題が明るみに出ることがないからです。

 

実は、トラブルが起きた場合にどうなるか?ということを考えておくべきです。不動産賃貸業を行なっている場合、トラブルが起きないということはありえません。

入居者との間でのトラブルでは、

・賃料に関する問題

・入居者がトラブルメーカーのため、退居してもらいたい場合

などがあげられるでしょう。

 

入居者と賃料の問題が起きた場合、裁判を行う前に、調停を行うことになります。調停になった場合、認知症になっている本人が出ていっても、話し合いができないでしょう。誰を代理人として出すのか?という問題があります。代理人としての立場に法的根拠がなりません。認知症になっている人が代理人を選任することができるか?というと難しいと言わざるを得ません。しかも、賃貸借契約を締結した時点において、認知症になっていなかったのか?認知症であったのか?といったところまでさかのぼって、話し合いになる可能性も否定できません。

 

入居者がトラブルメーカーのために、退居してもらいたいと考えていたとしても、簡単に退居させることは難しいです。立ち退き費用を支払うなど、様々なことを行わなければなりません。場合によっては、明け渡し訴訟なども行わなければなりません。認知症になっている本人ができるでしょうか?

通常は、弁護士さんに依頼することが多いので、問題ありませんが、認知症になっている本人が弁護士さんに依頼することができるでしょうか?弁護士さんは訴訟を起こそうとしている人が認知症であるとわかった時点で、訴訟を引き受けるために、契約するでしょうか?

多くの場合、すでに認知症になっていれば、訴訟を引き受けるために契約することはないのではないかと考えます。業務停止処分などにあたるかどうかはわかりませんが、もし業務停止処分のリスクがあるとすれば、引き受けることはないでしょう。

 

それでは、和解しようと思っても、和解もできません。本人が認知症ですので、判断することができませんので。

認知症になると、本当に何もできなくなるという状態になります。

 

最近、ご縁をいただき、士業の先生にお会いする機会が多くなりました。不動産の賃貸においても、認知症対策を行っておくことは重要ですよとお伝えさせていただいております。上記のことをお伝えすると、すぐに理解していただけます。さすが士業の先生であると思います。つまり、士業の先生は、不動産賃貸業の経営者(大家さん)ではないために、お伝えしたリスクについてまったく気がついていないというだけなのです。しかし、非常に重要な視点であると考えます。この視点は、不動産賃貸業の経営と認知症対策の両方を行っていないと気づかない視点であると考えます。

 

そもそも論でいうと、認知症にならないことが一番です。認知症になったとしても何もトラブルが起きないに越したことはありませんが、何かトラブルが起きてからでは遅いです。逆を返すと、何かトラブルが起きないと、家族信託®をやる必要がなかったということになります。そのため、家族信託®を本当にやる必要があるのか?と考えたくもなる気持ちもわかります。

不動産賃貸業の経営者としては、最悪の状態にならないように、リスクヘッジの意味を込めて、家族信託®を検討することは必要であると考えます。

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