第13回まで家族信託®について、話をしてきましたが、実際に家族信託®は誰がやるべきであるのか?ということが気になると思います。
家族信託®においては、
・家族信託®をやるべき人
・家族信託®をやった方が良い人
に分けられると考えられます。
まず、家族信託®をやるべき人は、どのような人でしょうか?
第1回から第13回まで話をしてきたように、不動産賃貸業を行なっている不動産オーナーは、家族信託®をやるべきであると考えます。
特に、不動産賃貸業を行なっている不動産オーナーは高齢であることから、認知症のリスクがあると考えられます。認知症になってしまうと、契約事項は、凍結されてしまいます。凍結されると、不動産オーナーだけでなく、様々な人たちも大変な目にあうことになります。
不動産オーナーにとって、
資産が凍結されてしまう。
銀行口座からお金を下ろすことができない。
不動産賃貸業が凍結されてしまい、何もできなくなってしまう。
空室が増加して、賃料収入が減少する。金融機関への返済が滞る可能性がある。
入居者にとって、
不動産オーナーが認知症になり、不動産が凍結されていようが関係ありません。
非常識なクレームは別として、生活に支障が出る場合には、クレームになるでしょう。しかも、修理してもらえないとすれば、生活することができないわけですから、最悪退去することになります。不動産管理会社が入っているとすれば、不動産管理会社に対しての印象も良くないでしょう。
不動産管理会社にとって、
不動産オーナーが認知症になり、不動産が凍結されていようが関係ありません。入居者からのクレームに対応することができなければ、不動産会社として、何もやりようがありません。そのような物件を管理したいと思わないでしょう。入居者からクレームは言われる。不動産オーナーは何もできない。このような板挟みの状態を引き受けたいとは思いません。
不動産オーナーの家族にとって、
不動産オーナー本人の資産が凍結されることによって、不動産賃貸業を引き継ぐことができません。空室が増加して、賃料収入が減少し、金融機関への返済が滞る可能性がある物件を相続しようと思わないでしょう。
不動産賃貸仲介を行なっている会社にとって、
不動産管理会社から不動産の状況を聞いているはずです。入居者からクレームがくることが目に見えている物件をわざわざ仲介するとは思えません。
不動産オーナー、不動産オーナーの家族、入居者、不動産管理会社、不動産賃貸仲介を行なっている会社、誰にとっても有益な状況になりません。
したがって、不動産賃貸業を行なっている人は、家族信託®をやるべき人であると言えます。
私は、不動産賃貸業のように、事業を経営している人は、家族信託®をやるべき人であると考えます。従業員がいるケースでは、上記したよりももっと複雑になります。経営者は事業に関係する人が多いということです。経営者が認知症になってしまうと、事業に関係する人に多ければ多いほど、誰にとっても有益な状況になりません。そのため、経営者は、家族信託®をやるべきであると考えます。
一方で、家族信託®をやった方が良い人は、不動産賃貸業を行なっていないけれど、資産を所有している人です。不動産賃貸業を行なっていなければ、経営する必要はありませんが、資産を所有している人であれば、資産が凍結する可能性があります。資産を凍結させたくないと考える人であれば、家族信託®を行うことを考えても良いのではないかと考えます。
第1回から第4回までのコラムはこちら↓
http://www.nichijuken.org/column-okada.html
(注) 家族信託®は、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。