家族信託®で不動産の承継対策を考える!

第6回目では、不動産の承継する際に、用いられる遺言と信託契約の違いを理解し、用途に応じて、使い分けるというお話をいたしました。

 

今回は、家族信託®を用いた不動産の承継対策について、お話をしていきます。

特に、遺言と信託契約との大きな違い3つの中でも、この2つについてお話をしていきます。

  • 遺言は、本人の死後に開示され、有効になるものである。

③ 遺言は1代限りである。

 

今回は、①についてお話ししていきます。

①遺言は、本人の死後に開示され、有効になるもの。では、家族信託®ではどうなるでしょうか?

家族信託®の登場人物は、3人でしたね。

「所有権」を有する人=”財産をお願いする人”=「委託者」

「名義」の人=”任される人”=「受託者」

「受益権」を有する人=”利益を得る人”=「受益者」

”財産をお願いする人”が判断能力のある段階で”任される人”にお願いする。信託契約書を作成することで、財産の管理を任せることを証明するわけでしたね。

そして、信託契約を結ぶことで不動産を承継できたわけではありません。むしろ、信託契約を結ぶことが不動産を承継することの始まりです。

 

”財産をお願いする人”が”任される人”に管理してもらうのであれば、資産の状況を教える必要があります。また、不動産を管理してもらうのであれば、賃貸している不動産の状況、管理方法、これまでの経緯、賃貸のノウハウ、毎月の賃料、管理委託会社、管理委託会社の担当者、管理委託契約書、入居者との賃貸借契約書など不動産に関するありとあらゆることを引き継いでおかなければなりません。

 

まず、重要なことは人間関係、人脈を承継することです。

管理委託会社や管理委託会社の担当者は、家族信託®のことを知らないかもしれません。管理委託会社や管理委託会社の担当者にしてみれば、”任される人”が「これからは私が窓口になります」と勝手に言い始めたと思うかもしれません。皆さんが管理委託会社の担当者だとして、突然、このようなことを言われたら、どう思いますか?

管理委託会社の担当者にしてみれば、責任ある仕事として、不動産の管理委託をしているわけですから、勝手に言い始めた人に対して、重要な個人情報を教えるわけにはいかないと思いませんか?

 

それは、”財産をお願いする人”、”任される人”、管理委託会社の担当者の関係性を考えれば、理解できます。

”財産をお願いする人”と管理委託会社の担当者の間では、信頼関係があると思います。しかし、”任される人”と管理委託会社の担当者の間では、信頼関係はできていません。

ですから、”任される人”と管理委託会社の担当者の間で信頼関係ができるまでは、”財産をお願いする人”も同席するべきでしょう。

管理委託会社以外にも、関係する人はたくさんいるでしょう。面倒かもしれませんが、一人ずつ信頼関係を築いていく必要があるでしょう。賃貸経営を行う第一歩です。

 

続いては、”財産をお願いする人”から”任される人”に対して、行うことです。”財産をお願いする人”にしてみれば、ずっと手がけてきたことですから、賃貸している不動産の状況、管理方法、これまでの経緯、賃貸のノウハウ、毎月の賃料などは分かっていて当然のことです。しかし、”任される人”にとっては、当然のことではありません。一つ一つ教えていく必要があります。そして、”財産をお願いする人”が考えている賃貸経営の方針も承継させておかなければなりません。また、時代に即して賃貸経営の方針を変えなければならないかもしれません。そのためには、”任される人”は自ら賃貸経営について、学ばなければならないでしょう。

ただ単に、不動産という資産を承継すれば、終わりではありません。所有している不動産に関するありとあらゆることを承継しなければなりません。

ですから、信託契約を結ぶことは不動産を承継することの始まりというわけです。

 

次回は、不動産の承継対策に関する遺言と信託契約との大きな違い3つの中の

③ 遺言は1代限りである。

について、信託契約のケースをお話ししていきます。

 

第1回から第4回までのコラムはこちら↓

http://www.nichijuken.org/column-okada.html

 

(注) 家族信託®は、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。

PAGE TOP