家族信託®を用いた分割の対策とは?

第8回のコラムまでにお話してきたことを簡単におさらいしていきましょう。

第1回と第2回では、相続対策に必要な5つの項目についてお話をしました。覚えているでしょうか?

なかなか覚えていないと思いますので、復習したいと思います。

①相続税を減らすために税理士等に相談して対策を講じた。→相続税対策

②どの資産を誰に承継させるかを遺言書に記載した。→相続財産の分割対策

③納税するための資金を用意した。→納税資金対策

④判断能力が低下した時のために対策を講じる。→認知症対策

⑤承継者を事前に決定し、教育しておく。→承継者対策

第3回から第8回までにおいて、

④認知症対策

⑤承継者対策

についてお話をしてきました。

今回は、家族信託®を用いた相続財産の分割対策についてお話しさせていただきます。

相続対策の②相続財産の分割対策です。

第1回のコラムにおいて、「どの資産を誰に承継させるかを遺言書に記載した。」にチェックがついた方もいらっしゃると思います。

第8回のコラムにおいて、信託契約における”利益を得る人”を承継させた場合についてお話をさせていただきました。設定によっては、思いもよらないところで、信託契約が終了してしまうことがあり得るということをお話しさせていただきました。

第8回のコラムに記載した信託契約における”利益を得る人”を承継させた場合を応用すると、「どの資産を誰に承継させるか」つまり、財産の分割を家族信託®において行うことができるということです。

あるケースを取り上げてみましょう。

(取り上げるケースにおいて、今回はご理解いただくことに主眼をおいて説明していきます。コラムでは触れませんが、その他のリスクと考えられる部分が出てくる場合があります。実際には、専門家にご相談することをオススメいたします。)

<ケース5>利益を得る人を承継させる場合

Rさん:預金、不動産などの資産を持っている。

Sさん:Rさんの長女。

Tさん:Rさんの次女。

Rさんは、SさんとTさんに財産をきっちり半分ずつ渡したいと考えているとします。たとえ、賃貸不動産を2棟所有していたとしても、それぞれの賃貸不動産が全く同じであることはありえません。

したがって、きっちり半分にすることは難しいと考えられます。

このようなケースの場合、きっちり半分にしようと考えるのであれば、不動産を売却して、すべて金銭にして分けることを考えるでしょう。

賃貸不動産を売却する際に、不動産の市況が良い時であれば、希望価格で売却することができる可能性が高いですが、不動産の市況が悪い時であれば、希望価格で売却することが難しいです。

それでは、このケースで家族信託®を用いるとどうなるでしょうか?

”任される人”をSさんにする場合を考えましょう。

「所有権」を有する人=”財産をお願いする人”=「委託者」=Rさん

「名義」の人=”任される人”=「受託者」=Sさん

「受益権」を有する人=”利益を得る人”=「受益者」=Sさん、Tさん

このように設定し、

Sさん:受益権の50%

Tさん:受益権の50%

とする設定を考えることができます。

このように設定することで、きっちり半分ずつ渡すことができると考えられます。

第8回のコラムで”任される人”と”利益を得る人”が同じ人の場合には、1年ルールが適用されたはず、ケース5でも”任される人”と”利益を得る人”が

Sさんになっているから、1年ルールができようされるのではないか?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

ケース5では、1年ルールは適用されないと考えられます。1年ルールが適用されるのは、”任される人”と”利益を得る人”が同じ人である場合です。ケース5では、”利益を得る人”にTさんもいるため、”任される人”と”利益を得る人”が同じ人ではないと考えられるため、1年ルールは適用されないと考えられます。

ただし、各家庭のケースで異なります。安易に信託契約を結んではなりません。そのため、必ず専門家に確認してください。

今回は、家族信託®を用いた相続財産の分割対策についてお話しさせていただきました。

次回は、家族信託®に関する、よくある勘違いである相続税の節税対策になるかどうかについてお話しさせていただきます。

認知症大家対策アドバイザー

岡田文徳

 

第1回から第4回までのコラムはこちら↓

http://www.nichijuken.org/column-okada.html

(注) 家族信託®は、一般社団法人 家族信託普及協会が商標登録しています。

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