受益者代理人は必要なのだろうか?

家族信託を行うためには、理解しておかなければならないことが数多く存在します。その中の一つに、受益者代理人というものがあります。受益者代理人を設定するかどうかを伝える前に、受益者代理人について、理解する必要があります。

 

受益者代理人となると、受益者の代理行為を行う人と解釈しがちですが、本当に正しい認識でしょうか?

信託法第139条には、次のように記載されています。

 

(受益者代理人の権限等)

第百三十九条 受益者代理人は、その代理する受益者のために当該受益者の権利(第四十二条の規定による責任の免除に係るものを除く。)に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

2 受益者代理人がその代理する受益者のために裁判上又は裁判外の行為をするときは、その代理する受益者の範囲を示せば足りる。

3 一人の受益者につき二人以上の受益者代理人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

4 受益者代理人があるときは、当該受益者代理人に代理される受益者は、第九十二条各号に掲げる権利及び信託行為において定めた権利を除き、その権利を行使することができない。

 

受益者代理人は、受益者の代理行為を行うという解釈は正しいと言えるでしょう。ただし、忘れてはいけないことは、受益者代理人を定めると、原則として、受益者は直接、権限行使を行うことができなくなり、全ての権限行使・要求は、受益者代理人が行うことになります。受益者がまだ元気であっても、受益者として要望することを受益者代理人を介して、行うことになります。つまり、受益者は何もできなくなり、受益者代理人が全てのことを行うと解釈できるということであると言われています。

 

受益者代理人を設定する必要があるのでしょうか?

わざわざ、受益者代理人を設定する必要はないと考えます。しかし、万が一のために、受益者代理人を設定しておきたいということも考えられます。また、受益者代理人を信託契約書に記載していないと、金融機関等から信託口口座を開設することができないと言われるケースもあるようです。

 

しかし、次のことを忘れてはいけません。

受益者代理人を設定してしまうと、受益者代理人を介して、法的な行為を行わなければならなくなりますので、受益者が行いたいと思う通りに行うことができなくなるかもしれません。

次に示すような状態において、板挟み状態になっていると解釈できます。

・万が一のために、受益者代理人を設定しておきたい。

・万が一にならなければ、受益者代理人に権限を与えたくない。

 

この相反することを両立することは可能なのでしょうか?

信託契約書に次のような内容を記載すると、両立することができるそうです。

  • 受益者代理人を設定する内容を記載する。
  • 受益者代理人の就任を留保する。
  • 受益者代理人の権限を発動する条件を記載する。

なるほどとは思いましたが、条件を決めることが難しいと思いました。条件は、個別の案件によって、異なることになります。

受託者代理人の就任を留保しておくということは、就任する条件が存在するということです。

受託者代理人の就任ための条件をどう決めるのか?

また、受益者代理人の権限を発動する条件は、

・受託者が誰なのか?(受益者ではない。)

・受益者代理人になれそうな人は誰なのか?

なかなか難しい問題であると考えられます。

 

ありきたりな結論かもしれませんが、

受益者代理人を設定する必要がなければ、設定しない。

受益者代理人を設定する必要があるのであれば、あらゆることを想定して、設定する。その代わり、受益者代理人の就任を留保することや権限を発動する条件を決めておくということです。

 

 

認知症大家対策アドバイザー

岡田文徳

 

参考:

信託法

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418AC0000000108

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