仮想通貨で不動産を購入できる!?
2016年ごろから急激に注目を浴びるようになったものが仮想通貨であることは、みなさまご承知の通りと思います。仮想通貨の中でも、特にビットコインについては耳にしない日は無いくらいであったと思います。
また、最近ではビックカメラ、エイチ・アイ・エスなど少しずつではありますが、わが国でも仮想通貨において、決済できる店舗、サービスが増えています。
仮想通貨による決済ができる店舗、サービスが増加している要因の一つとして、訪日外交人の増加があげられると考えられます。政府は訪日外国人を2020年に4000万人にする計画を発表していますので、今後、仮想通貨による決済ができる店舗、サービスはさらに増加すると考えられます。
それでは、ビットコインの税務上の扱いについて、確認する必要があります。国税庁はHPにおいて次のように発表しています。
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
ビットコイン以外の仮想通貨に関しても同様です。上記は、仮想通貨を使用した場合についての記載ですが、次のようなことは注意しましょう。
(1)仮想通貨を売却した場合
(2)仮想通貨を決済に使用した場合
(3)仮想通貨と仮想通貨を交換した場合
(1)仮想通貨を売却した場合
仮想通貨の売却時の価格から仮想通貨の購入時の価格を差し引いた額が利益になります。利益に対して、税金がかかります。仮想通貨に関する利益は、原則として、雑所得扱いになります。雑所得以外の他の所得と損益通算することができませんので、ご注意ください。(事業所得として認められる場合は、雑所得にはなりません。)
(2)仮想通貨を決済に使用した場合
仮想通貨を決済に使用した場合においては、次のように考えると理解しやすいと思います。
例えば、ペットボトルの飲み物を仮想通貨で買った時を考えましょう。
実際の流れは、
①仮想通貨を支払う。
②ペットボトルの飲み物を受け取る。
国税庁が示す仮想通貨を使用した決済における税務上の考え方は、
①仮想通貨を日本円に戻す。
②日本円で支払う。
③ペットボトルの飲み物を受け取る。
仮想通貨から一度日本円に戻すという考え方をすると理解しやすいと思います。
仮想通貨から日本円に戻した段階で、仮想通貨を売却したという考え方になるため、(1)仮想通貨を売却した場合と同様に仮想通貨から日本円に戻した時点で、利益が生じていれば、税金がかかることになります。所得に関する取り扱いは、(1)と同様です。
(3)仮想通貨と仮想通貨を交換した場合
(2)仮想通貨を決済に使用した場合と同様な考え方になります。
例えば、ビットコインをイーサリアムに交換した時を考えましょう。
実際の流れは、
①ビットコインを支払う。
②イーサリアムを受け取る。
国税庁が示す仮想通貨を使用した決済における税務上の考え方は、
①ビットコインを日本円に戻す。
②日本円でイーサリアムを購入する。
③イーサリアムを受け取る。
ビットコインから一度日本円に戻すという考え方になります。(2)と同様な考え方になります。
ですから、仮想通貨を使用した場合には、税金を頭に入れておく必要があります。
今まで、消費するような商品、サービスにおいて、仮想通貨を使用することができましたが、仮想通貨でついに不動産を購入することができる時代になりました。不動産を購入する時に仮想通貨を使用するの?という抵抗感のようなものを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
仮想通貨で不動産を購入することが認知されれば、仮想通貨で不動産を購入することができる会社が増えていくのではないか?と思います。
現在、所有している仮想通貨を使用して、不動産を購入することになりますので、(2)仮想通貨を決済に使用した場合の考え方になります。仮想通貨による利益に対して、税金がかかる可能性がありますので、頭に入れておきましょう。
また、金融機関から融資してもらって、不動産を購入することが多いです。金融機関から融資してもらう場合、金融機関が仮想通貨の決済を了承するかどうかは各金融機関の判断によりますので、必ず了承を得ることができるわけではありません。
現在のところ、仮想通貨で不動産を購入するには、不動産価格の全額を仮想通貨で支払うことを前提にしているようです。
今後、仮想通貨による決済ができる店舗、サービスはさらに増加すると考えられます。本コラムに記載したように仮想通貨を決済に使用した場合に、思わぬところで税金が発生している場合があります。
ご自身で仮想通貨を使用する場合には、仮想通貨について学ぶことは必要であると考えられます。
本コラムでは、日本において仮想通貨を使用した場合について、記載しております。今後、仮想通貨の取り扱い方が変更される可能性もありますので、ご注意ください。仮想通貨に関する税金の取り扱いに関しましては、国税庁のHPを参照しています。税金の申告が生じる可能性がある場合には、税理士にご相談ください。
日本以外で仮想通貨を使用した場合には、日本での仮想通貨の取り扱い方と異なる可能性がありますので、ご注意ください。
認知症大家対策アドバイザー
岡田文徳
参考:
国税庁HP(仮想通貨の取り扱い)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf
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