入居希望者の動向を知る
入居希望者の傾向をウチコミ!さんが調べた結果をセミナーで伝えておりました。様々な結果から大家側として、考えなければならないことが多いと思いました。
(1)引越しの理由
引越しの理由は人それぞれであると思います。
私は、
- 転勤、転職
- 結婚、出産
- 進学、就職
の順番であると予想しておりました。
しかし、一番多いのは、
- 物件の契約更新:38%
- 転勤、転職:33%
- 結婚、出産:17%
- 進学、就職:10%
という結果でした。
物件の契約更新が理由であるとは、大家側としては、なかなか考えないものです。契約更新料や契約更新事務手数料が問題であるということをなのでしょう。入居者は、費用面しか、判断していないことになります。
大家側としては、頭が痛いことであると思いますが、契約更新料以上のサービスを提供することで退去を防止することは可能なのではないかと考えます。
実際に、入居者が契約更新料を支払うことを嫌がり、引越しを行なうとすると、引越したほうがトータルで費用がかかると考えます。ただし、トータルの費用面の話を入居者に伝えておかなければ、伝わらないでしょう。どのように入居者に伝えるかということは、大家側の課題かもしれません。
また、入居者に対して、費用面以外の部分、設備やサービスを充実させることによって、他の物件と差別化を行うことは可能です。その代わり、契約更新料をケチって、他の物件に引っ越すと、現在の生活よりも水準が下がってしまうという状況を、大家側は作らざるを得ません。
競合物件と差別化が難しいというのであれば、契約更新料を0円にするという選択肢もあると考えます。契約更新料は、おおむね賃料の1ヶ月分です。賃料1ヶ月分をもらえなかったとしても、賃料24ヶ月(2年間)分を安定的に得られると考えれば、賃料1ヶ月分を大家側が放棄しても良いという考え方もあります。(契約期間2年の間に退去されないことが前提になりますが。)
経営者として、柔軟な判断が必要になると考えます。
(2)内見
内見に行くまでにどうするか?ということを考えたことはないでしょう。
- 一度、不動産会社に行ってから内見する。:64%
- 現地で待ち合わせをして内見する。:36%
現地で待ち合わせをして、内見する割合が増えています。今後はさらに増加すると考えられます。現地で待ち合わせをする傾向が増える理由は、ポータルサイトを確認して、内見したい物件だけを選択しているからです。
“部屋を決めるまでに内見した物件数”は次に示す結果になっております。
- 3件:30%
- 6件以上:21%
- 2件:14%
- 1件:12%
- 4件:8%
- 5件:8%
- 0件:7%
1,2件で決めてしまう人が増えているように感じます。0件で決めてしまう人が7%もいることには、驚かされます。
ポータルサイト等で確認して、内見する物件を選択してきているということです。仕事等で忙しいことも要因の一つかもしれません。
つまり、ポータルサイト等の時点でいかに見てもらえるか?見てもらえるような施策を行うか?ということが重要であるということを示しています。
(3)部屋探しの時に記載されていると探しやすい内容
- 初期費用が掲載されている:70%
- 近隣の詳細情報:17%
- 360度写真:9%
- 動画:4%
初期費用が掲載されていないと、引越しの際に費用を見積もることができませんので、初期費用が掲載されているものを選択するということになります。言われてみれば、当然のことかもしれません。
大家側や不動産会社にとっては、初期費用を出せないパターンがあります。誰が入居者をつけたかによって、広告料を支払うのか?賃料の何ヶ月分を支払うのか?などが変わってしまうからです。
しかし、入居者には、全く関係ないことであると考えます。初期費用を確定できないと引越しもできません。
不動産賃貸業は、入居してもらうことがスタートです。入居してもらうために、初期費用を掲載するだけで、見てもらえる物件になるのであれば、見てもらえるようにしておいた方が良いと考えます。しかも、アンケートでわざわざ初期費用を掲載していることをあげるわけですから、初期費用を掲載していない物件が多いとも捉えることができるわけです。つまり、初期費用を掲載することで、差別化できるということを意味します。
現在は、何もしなくても、入居者がつく時代ではありません。大家側でできる努力を行うことが賃貸業の経営には、必要になると考えます。
認知症大家対策アドバイザー
岡田文徳
参考:
賃貸住宅フェアin 九州
セミナータイトル「空室対策最前線~最新データから読み取る入居希望者の動向と対策~」
福岡の不動産市況は東京とは異なる!?
https://dimetel.jp/2019/07/15/ref5/
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