信託監督人に関する議論はどうなっているのか?

家族信託®が広まってきていることは、ご存知であると思います。まだまだご存知ない方も多くいらっしゃることは事実です。

そして、家族信託®は、専門家が様々な見解を示しているということも事実です。ご自身で判断することは、難しい場合があるかもしれませんが、一番重要なことであると考えます。

 

専門家によって、様々な見解があるものの一つとして、信託監督人を入れるべきであるか否かということがあります。

結論を出す前に、まずなぜ、信託監督人を入れるべきであるか否かということが問題になるのか?ということを理解しなければなりません。

 

ケース1

Aさん:賃貸不動産を所有している。75歳

Bさん:Aさんの配偶者。73歳

Cさん:Aさんの子供。48歳

 

Aさんが認知症対策として、家族信託®を行いたいと考えています。Bさんは、Aさんと同年代ですので、管理する人(受託者)には不向きであると考えます。すると、Cさんに管理する人(受託者)を任せることになるでしょう。不動産賃貸業をやられている方であれば、よくあるケースだと考えられます。

 

Aさんが認知症になってしまっても、不動産賃貸業が滞ることがないように、Cさんに管理する人(受託者)をお願いするわけですが、Cさんは不動産賃貸業の経験がありません。Aさんは、Cさんに不動産賃貸業の経験がないことが非常に心配です。

  • 不動産賃貸業が滞りなく行われているか。
  • 不正流用がないか。

などを誰かにチェックしてもらいたい。

そこで、専門家に信託監督人になってもらうことで、管理する人(受託者)が信託契約書どおりに、責務を果たしていることをチェックしてもらう。

 

なるほどね!と感じる方はいるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?

 

そもそも、なぜ、家族信託®を行うのか?

目的を明確にする必要があると考えます。

 

ケース1では、そもそもCさんに管理する人(受託者)をお願いして良いのか?というところから考えた方が良いと思います。

 

ケース1では、認知症対策という観点しか考えられておりません。確かに家族信託®を行うことによって、認知症対策を行うということは非常に重要なことであると考えます。

しかし、承継者対策ということを忘れているのではないでしょうか?

不動産賃貸業は、あくまでも事業です。不動産賃貸業の経験がなければ、苦労することがあるでしょう。

Cさんに不動産賃貸業の経験がないことが非常に心配であると考えるのであれば、AさんがCさんに教えられるうちに、ノウハウを伝え、人脈を承継しておくべきことではないでしょうか?

ゼロからノウハウを蓄積し、人脈を構築することは、大変なことです。

(正直、経験してみないとわかりません。)

承継することがわかっているのであれば、ノウハウを伝え、人脈を承継しておく。経営の仕方を伝え、実際にやらせてみる。間違えそうだと思った時には、修正する。認知症になる前であれば、可能です。

 

また、信託監督人は、不動産賃貸業の経営者としての経験があるのか?ということも重要です。信託監督人を行う専門家は、士業の先生が多いと思います。士業の先生は、所有されている資格の専門家です。所有されている資格については、専門家です。所有されている資格に関する分野では、大いに頼って良いと考えます。

ただ、多くの場合、士業の先生は、不動産賃貸業の経験がありませんので、Cさんと状況は変わらないと考えます。お伝えしたいことは、士業の先生が悪いわけではなく、専門が異なるということです。

不動産賃貸業をやられている士業の先生であれば、的確なアドバイスを行うことができると考えられますので、ケース1の信託監督人に選任することは良い方法になるかもしれません。

 

つまり、認知症対策だけを考えるのではなく、承継者対策までしっかり考えることが重要です。そして、家族信託®を行い、認知症になる前に、不動産賃貸業を承継しておくことが重要であるということです。

不動産賃貸業を引き継がせるのであれば、必ず事業承継という観点で考えるべきであり、そうすれば、信託監督人は、必要ないかもしれません。

 

信託監督人が必要ないか?というと、必要な場合もあると考えますが、なかなか良い事例が見つかりませんでした。今後も信託監督人を入れると良い事例を見つけていきます。良い事例が見つかりましたら、お伝えさせていただきたいと考えております。

 

 

認知症大家対策アドバイザー

岡田文徳

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